ケース② 離婚による名義変更の方法と解説
土地や建物の不動産名義には2つの種類があります。先ずその不動産の所有者を指す不動産の『所有名義』と借りている住宅ローンの『住宅ローン名義』です。
所有名義と住宅ローン名義はそれぞれ夫婦片方の単独名義になっていることもあれば夫婦共有の共有名義になっていることもあります。
不動産の所有名義は借りている金融機関の承諾があれば離婚を理由に変更が可能な場合もありますが、住宅ローン名義の変更は借りている金融機関の審査がありますので簡単にはいきません。
不動産の所有名義とは
不動産にはその所有者が誰なのかということで不動産の登記簿謄本に名義が記され登記されます。
単独名義であれば単独の名前が登記され共有名義であれば夫婦共有の名前が記され登記されています。
不動産の所有名義は住宅ローンが残っていても、離婚を理由に夫婦共有名義から単独名義へと変更な場合がありますが、金融機関との金銭消費貸借契約の際に「名義変更の際は抵当権者の承諾を得ること」と明記されていることがほとんどですので、事前に金融機関との契約違反を避けるために住宅ローン会社の承諾を得る必要があります。
住宅ローン名義とは
住宅ローン名義とは、住宅ローンを借り入れした金融機関とのローン契約者(ローン申込人)本人のことです。
住宅ローンを借りた際には金融機関が抵当権を設定し不動産を担保しますがこの金融機関を『抵当権者』または『債権者』といいローン契約者を『(主)債務者』と呼びます。
夫婦の収入合算で住宅ローンを組む場合には夫婦で『主債務者』となる場合や片方が『主債務者』となり片方が『連帯保証人』となる場合が通常です。
共有名義の場合、住宅ローン名義を片方に変更するには住宅ローンを借りてる金融機関の審査・承諾が必要になりますが、片方の『主債務者』や『連帯保証人』がいなくなるわけですから許容してくれるケースは少ないです。
不動産の『所有名義』が変更できたとしても『住宅ローンの共有名義』が解消されない限り、住宅ローンの滞納が起きた際に双方に金融機関から一括返済を迫られる可能性があります。
住宅ローン名義を変更する際の注意点
住宅ローン名義を変更する際に金融機関から求められる可能性が高い条件があります。
1. 元の契約者と同等以上の返済能力を有していること
2. 住宅ローン名義と物件の名義が同一で、尚且つ新契約者がその物件に居住すること
3. 離婚の場合も新契約者の返済能力が重要となる
4. 正当な理由があること
簡単にまとめますと、以上の点が住宅ローン名義を変更する際に金融機関から求められる可能性が高いです。
特に1.2.のポイントは、住宅ローン名義を変更する際の必須条件になるケースが多くあります。
離婚による名義変更の方法
離婚による名義変更で多いパターンは2通りになります。
1. 夫婦共有名義から片方に名義変更
2. 離婚後も居住する元妻への名義変更
住宅ローン名義を変更する際の注意点で述べた通り、夫婦共有名義から片方の名義に変更するには「住宅ローンを返済できる十分な返済能力を有しているかどうか」が重要になります。
新契約者が十分な返済能力を有しており、尚且つ今後も継続して居住するということであれば既存契約の名義変更か新契約の借り換えということで金融機関が了解してくれる可能性が高いです。
2.のケースでも同様に「元妻が十分な返済能力を有しているか」が争点になってきます。
安定した収入があり、尚且つ住宅ローンを返済できるだけの返済余力があれば、金融機関に対して交渉の余地があります。
ただし、元妻の職業が専業主婦やパート・アルバイトなどの場合は、返済能力の部分でみて住宅ローン名義の変更は難しいでしょう。
名義変更の手続きや条件は、各金融機関によって異なります。
私たちは親族間や持分による売買の経験が豊富にあり、各金融機関に強く有利な条件での交渉が可能です。
借り換えによる名義変更
住宅ローンを借り換えするときには、元契約を一括で返済して新しい契約を結ぶことになります。
所有名義と住宅ローン名義が同一で新契約後も変更がない場合、特別な手続きをすることなく借り換えすることが可能ですが、夫婦共有名義から片方の名義に変更する場合などにおいて、金融機関は「債務逃れや不正、住宅取得以外の目的で住宅ローンの融資が使われる可能性があること」を理由に住宅ローンの融資に否定的ですので正当な理由が必要になります。
ですので、名義変更による借り換えは個人で行っても扱ってもらえないことが多く、当社のような親族間売買を扱う不動産会社が間に入ることにより成立する可能性が高くなります。
また、金融機関に申し込んで否決された場合は否決された情報が一定期間残ってしまうため、他の金融機関で再度申し込んでも否決されてしまう可能性が高くなってしまいます。
離婚による夫婦間の名義変更は、金融機関にとっての条件が合わないと成立するのが難しいのが現状です。
お一人で悩まれても解決までの時間が過ぎていき、状況が悪化するばかりです。
先ずはどんなことでも構いませんので私たちへご相談ください。
離婚による精神的負担と住宅ローン、引越しの問題を同時にお一人で抱えることはとても辛いことです。離婚による住宅の問題は先ず任意売却専門のサポート会社である私たちにご相談ください。